辺りは静寂に包まれている。誰もいない。
自分の息をする音しか聞こえない。
のどかな朝ではある。
が、どことなくピリピリとした空気を、私は作っていた。
何度もファインダーを覗き、その度に露出・ピントを修正する。
これしかない!と思っても、次に覗いた時には必ずいじる。
「合図」が確認できた。
これだけ緊張感を持って望んでも、「合図」からシャッターを切るタイミングまでは恐ろしいほどに落ち着いている。
失敗を重ねた成果とでも言うべきか。
シャッターを切り、結果をプレビューでざっと確認する。
その瞬間、私は無意識にガッツポーズをしていた。
「一瞬をモノにする」という、まさに写真撮影の醍醐味。