「パラレルの壁」を超えたと実感したときに、その快楽の基となっていたのは、「遠心力」だった。
2009年2月下旬の金曜日深夜、いや土曜日早朝と言った方がいいのか。
午前4時ごろ、狭山スキー場。
眠気も感じず、ひたすら滑りに没頭するオールナイト。
人気も少なくなってきたこの時間、それまでの「ターン後半だけ何ちゃってパラレル」を、卒業した。
今思えばズレズレだったのだろうが、「これがカービングターンか!」と。
一瞬目線をやった足元では、板が平行になって、カーブを描いていた。
パラレルができるまでは、とにかく「目指せパラレル」。
スキーを楽しむのは、パラレルになってから。
「人それぞれの楽しみがある」と言っても、パラレルじゃない状態では説得力がない。
どう考えてもそうだ、ボーゲンで滑れるコースは限られている。
その状態では、恐怖心ばかりで、楽しむ余裕はないだろう。
パラレルは上級者の証ではなく、ただ単に、スキーの免許証みたいなものだ。
こういう、修行めいたレジャーだから、スキーは人気がないのかな。